簡単!?日本画で使う膠(にかわ)の溶かし方

何度か記事中で言葉が出てきた「膠(にかわ)」ですが、どんなやつ?って思った方も多いと思います。
今回は膠について書いていきましょうか。
強そうな名前「三千本膠」
まず膠とは、簡単に言うと動物の皮とかを煮込んで採れたコラーゲンを固めたものです。
お湯で溶かして絵の具と混ぜて接着剤として使います。
授業ではじめに取り扱ったのは三千本膠(さんぜんぼんにかわ)というものでした。
日本画界隈で最もメジャーな膠です。
三千本の由来は牛一頭から3000本採れるからだとか。
名前が強そうですね。卍解できそうな名前です。「三千本膠景厳…」なんて友人と話していた頃が懐かしい。
つぶつぶの膠もある
膠って乾燥させて売っている状態のものはかなり硬いんです。
市販のかんてんみたいなのをイメージしてると痛い目見ます。
三千本膠をしばらく使っていましたが、全然溶けないことにイライラした私はもっと簡単に溶ける膠がないか探しました。
見つかりました。あ、普通に売ってた…。
売店に置いてありましたね。
それがこちらの粒膠(つぶにかわ)。
ザラメみたいで美味しそう。
この粒膠のほうが溶けやすくって快適です。最初からこっちを教えてほしかった!
膠を溶かすための道具と溶かし方
こちらが膠を溶かすために使う道具です。
- 浅めの鍋
- 電熱コンロ
- ガラス瓶
- 膠匙(にかわさじ)
実験か何か?
絵を描こうとしていたはずが動物細胞の研究みたいになっています。
溶かす手順はザックリとこんな感じ。
- ガラス瓶に膠と水を入れて1~2時間ふやかす
- 膠鍋に水を入れて電熱コンロで沸騰させない程度に加熱する
- 膠の入ったガラス瓶を湯煎する
- 膠匙で混ぜながら膠のかたまりがなくなるまで溶かす
…え、何この下ごしらえ。ってくらい時間がかかります。
しかも溶かしたあとの膠は腐りやすいので、かならず冷蔵庫で保管しなければいけません。
冷蔵庫で保管しても一週間が限度ですかね。
制作を始めるたびにまた膠煮るのか…って感じです。
私はもう慣れましたが、膠を煮たときの匂いは慣れない人にはきついかもしれません。
膠の扱いがどんどんずぼらに
湯煎が面倒だった私は膠鍋(にかわなべ)というものを使い直火で膠を溶かしていました。
膠液は多く作っても保存が利かないので、この膠鍋に入るくらいの少量だけ作って一作品で使い切るようにしていましたね。
次の日に持ち越す場合は膠鍋ごと冷蔵庫に入れます。
ほんのちょっと残ってしまったくらいであれば、そのまま放置して乾燥させます。
そうすることで冷蔵庫で冷やす必要もありませんし、また使うようであればお湯で戻せばいいのです。
膠は沸騰させたり冷凍させたりすると粘着力が落ちてしまうという話もあり、扱いが繊細な印象ですが実際使っていると雑に扱っても全然平気な感じがします。
最近の膠は製造技術の向上によって昔より扱いが楽になったということでしょうかね。
まとめ
なんとも手のかかる膠ですが、この材料を調合している時間が大事なのかもしれません。
お茶みたいな。
いやいやでもめんどくさいよ!っていう方は、〇〇膠液なんて名前で膠が溶けた状態のものも売っていますので、そちらをご利用くださいませ。
自分の手で材料をこしらえるっていう過程が原始的で良いっていうのもわかりますが、時代はどんどん便利になる方向へ向かっていますからね。
伝統的な手法にとらわれず、日本画を描くことを楽しめるように自分に合ったやり方を選んでいきましょう。